エアコンの処分は、取り外し作業や運び出しなど、大変そうなことが多くて億劫に感じるのではないでしょうか。
そもそもエアコンは粗大ゴミには出せないので、どうやって処分すればいいのかわからないという人も多いと思います。
古いものや壊れたエアコンは家電量販店や不用品回収業者に回収してもらえますし、自分で指定引取場所へ持ち込むこともできます。
他にも、売却や譲渡する方法も合わせると手放す手段は全部で8種類もあるのです。
当コラムでは、なぜエアコンは粗大ゴミに出せないのかを解説し、処分方法8種類の特徴、処分時の注意事項をご紹介します。
エアコンを買い替える方や、エアコンの処分をお考えの方は、当コラムをぜひ参考にしてください。
エアコンは家電リサイクル法対象品のため粗大ゴミには出せない
エアコンは、家電リサイクル法によってリサイクルすることが義務付けられ、粗大ゴミとして処分することはできません。
この章では、家電リサイクル法とはどのような法律なのか、対象のエアコンの種類、リサイクル料金について解説します。
家電リサイクル法ってどんな法律?何のためにあるの?
家電リサイクル法は、正式名称を特定家庭用機器再商品化法と言います。
この法律は、家電に含まれる有用な資源をリサイクルすること、そして廃棄物を減少させることを目的として施行されました。
対象となっているのは以下の4品目です。
・家庭用エアコン
・テレビ(ブラウン管、液晶式、プラズマ式)
・電気冷蔵庫、電気冷凍庫
・電気洗濯機、衣類乾燥機
この4品目については、製造業者や輸入業者には再商品化(リサイクル)が義務付けられてます。
家電量販店や販売店などの小売業者には、廃品家電を引き取り、製造業者や輸入業者へ引き渡す義務があります。
そして、私たち消費者(排出者)には、家電リサイクル料金と収集運搬料金を支払い、適切なリサイクルに協力する義務があります。
対象となるエアコンの種類と家電リサイクル料金について
家電リサイクル法の対象にであるエアコンですが、すべてのエアコンが対象となるわけではありません。
また、リサイクル料金もメーカーによって異なります。
●対象になるエアコンの種類
対象となるのは、家庭用エアコンの壁掛けタイプ、床置きタイプ、ウィンド型(窓用)です。
天井に埋め込むタイプや吊り下げタイプの業務用エアコンは対象になりません。
●エアコンの家電リサイクル料金
エアコンのリサイクル料金はメーカーによっても異なりますが、ほとんどのメーカーでは990円または2,000円です。
エアコンの 家電リサイクル料金 | メーカー名 |
990円(税込) | パナソニック(株)、東芝ライフスタイル(株)、ダイキン工業(株)、シャープ(株)、三菱電機(株)など |
2,000円(税込) | ソニー(株)、アイリスオーヤマ(株)、エスケイジャパン(株)、三洋ハイアール(株)、(株)ニトリなど |
1,265円(税込) | (株)ヤマダホールディングス |
9,900円(税込) | ヤンマーエネルギーシステム(株) |
*2024年9月現在の料金です。今後変更される可能性もあります。
エアコンの取り外しから処分まで任せたい|処分方法3種類
エアコンの処分で大変なのは、壁から取り外す作業です。
面倒な取り外し作業から処分までを任せたいなら家電量販店、購入店、不用品回収業者のいずれかに依頼する方法がおすすめです。
買い替え時に最適!家電量販店に引き取りを依頼する
家電量販店では、廃品家電の引き取りを行っています。
この処分方法では「リサイクル料金+収集運搬料金+取り外し工事費」がかかります。
しかし中には、買い替え前提なら収集運搬料金や取り外し工事費が安くなるお店もあります。
また、古いエアコンを下取りしてくれるお店に依頼すれば、新しいエアコンをお得に購入できるかもしれません。
▶かかる処分費用:リサイクル料金+収集運搬料金+取り外し工事費
●大手家電量販店のエアコンの収集運搬料金と取り外し工事費
家電量販店名 | 収集運搬料金 | 取り外し工事費 |
ヨドバシカメラ | 550円 | 4,400円~ *設置と同時の場合 |
ヤマダ電機 | 2,500円 | 6,600円~ |
ケーズデンキ | 3,300円~ | 6,600円~ |
ビッグカメラ | 2,200円 | 4,400円~ *設置と同時の場合 |
エディオン | 1,100~3,300円 | 6,600円~ *設置と同時の場合 8,800円~ *取り外しのみ |
*料金はすべて税込み価格です
エアコンを購入したお店がわかるなら引き取りを依頼する
エアコンを購入したお店がわかる場合は、そちらに依頼すれば回収してもらえます。
購入したお店が閉店していても、同系列の別の店舗に依頼すれば引き取ってもらえるので心配はいりません。
購入したお店がわからない場合や、お店が閉店していて同系列店もない状況なら他の処分方法にするしかありません。
▶かかる処分費用:リサイクル料金+収集運搬料金+取り外し工事費
エアコン以外も処分したいなら不用品回収業者に回収を依頼する
不用品回収業者は、エアコン以外にも家具や家電、衣類、雑貨類など、ほとんどの不用品を回収しています。
その名の通り、不用品回収に特化しているため処分時の面倒事への対応力は圧倒的です。
回収日時の調整はもちろん、連絡したその日中に回収してくれる業者もあります。
中古品の買取やハウスクリーニング、引越しサポートなど、同時に解消したい悩みに応えるオプションメニューも豊富です。
便利な分、費用は他の処分方法と比べると高額になりますが、依頼内容によっては割安になることもあります。
エアコン以外にも処分したい品がたくさんある、関連サービスも一緒に頼みたい、という方にはおすすめの処分方法です。
▶かかる処分費用:不用品回収料金+取り外し工事費(オプション)
取り外しは自力で!エアコンの処分だけ任せる|処分方法2種類
電化製品に対する基本的な知識を持ち、工具の扱いにも慣れている場合、エアコンの取り外しを自力でする人もおられるでしょう。
そこで、この章では取り外しは自力で行い、処分だけを任せたいという人におすすめの処分方法を2つご紹介します。
これらの処分方法を利用するには、事前に郵便局で家電リサイクル券を購入し、手続きを済ませておく必要があります。
住まいから最も近い指定引取場所へエアコンを持ち込む
指定引取場所とは、各製造メーカーが使用済みの自社製品を引き取るために設けられた拠点のことです。
私たち消費者がここに直接エアコンを持ち込んでも引き取ってもらえます。
ただし、事前に郵便局で家電リサイクル料金の支払いを済ませ、必要事項を記載した家電リサイクル券を持って行く必要があります。
引き取り可能な受付日時にも限りがあるため、持ち込む前に最寄りの指定引取場所の営業時間を確認してください。
最寄りの指定引取場所は一般財団法人家電製品協会家電リサイクル券センターの検索ページから見つけることができます。
▶かかる処分費用:リサイクル料金のみ
自治体指定の回収業者やリサイクル業者に引き取ってもらう
自治体では家電4品目の回収は行っていませんが、回収業者やリサイクル業者と提携して対応してくれる自治体もあります。
対応が可能かどうかを含め、申請方法や引き渡し方法については、お住まいの自治体に確認してください。
この処分方法では、エアコンの取り外しと屋外までの運び出し作業は自力になります。
しかし中には、取り外し作業(有料)に対応してくれる業者もあるようです。
▶かかる処分費用:リサイクル料金+収集運搬料金
お得に処分したい!エアコンを売却、譲渡する|処分方法3種類
お金をかけずにエアコンを処分したいという人には、この章でご紹介する処分方法3種類のいずれかがおすすめです。
ただし、これらの方法はエアコンがまだ使用できる状態に限ります。
壊れているエアコンの処分は、他の方法から選択してください。
リサイクルショップや買取業者に査定・買取してもらう
「人気国内メーカーの製品」「新しい機種」「状態が良い」の3つに当てはまるエアコンは買取対象になりやすいです。
予想以上に高値がつく可能性もあるので、リサイクルショップや買取業者に査定してもらうと良いでしょう。
査定額を少しでも上げたいなら、エアコンを掃除して取扱説明書などの付属品を揃えておくことが大切です。
また、冬前・夏前といったエアコンのニーズが高まる直前の時期は、査定額が上がりやすいようです。
▶かかる処分費用:かからない *査定費用や出張費用がかかる場合もある
自分で値段を付けてフリマアプリやネットオークションで売る
フリマアプリやネットオークションを利用すれば誰でも簡単に売りたい物を出品できます。
この方法なら、リサイクルショップや買取業者では売れなかった品でも、買い手が見つかることがあります。
ただし売却が前提なので、エアコンに傷をつけないように取り外し作業はより慎重にしなければいけません。
また、送料や梱包にお金がかかってしまうため、その分も見越して販売価格を決めなくては赤字になってしまうので注意しましょう。
▶かかる処分費用:かからない
掲示板アプリなどを活用してエアコンが欲しい人を探して譲る
親戚や友人の他、掲示板アプリなどを活用して欲しい人を探し、エアコンを譲る方法です。
この方法なら売却するよりも引き取り手が見つかりやすく、費用をかけずにエアコンを手放すことができます。
ただし、手放す時期を自分で調整することは難しいので、急いでいるような場合には向きません。
▶かかる処分費用:かからない
エアコンを処分するときの注意事項3つとその理由を解説
注意事項は「取り外し時のケガやフロンガス漏れ」「家電リサイクル券の控えの紛失」「無許可の業者」の3つです。
以下にてわかりやすく解説いたします。
自分で取り外し作業をするならケガとフロンガス漏れに注意
メーカーや品番にもよりますが、エアコンの室内機は10~15㎏、室外機は30~40㎏ほどあります。
自力で取り外しを行うのはかなりの重労働ですし、壁から外す際に誤って落とすなど、ケガや物損のリスクも高いです。
また、取り外し時にはエアコン内のフロンガス※①が大気中に放出されないように、確実にポンプダウン※②を行わなければいけません。
ポンプダウンは、専用の工具を使用して正しい手順で行わなくてはいけないので、慣れていない方は専門業者に任せるのが賢明です。
※①フロンガス……オゾン層破壊の原因になるため、ガス漏れを防ぎ回収することが義務付けられている
※②ポンプダウン……エアコンの室内機と配管パイプ内にあるフロンガスを室外機へ封じ込める作業
家電リサイクル券の控えは処分を見届けるまで捨てないように注意
家電リサイクル券は、廃品家電の引き取りや引き渡しが正しく行われるため、またその様子を管理・監視するための仕組みです。
私たち消費者にも、エアコンが適切にリサイクルされたかを見届ける責任があります。
その責任を果たすために、家電リサイクル券の控えに記載された「お問い合わせ管理番号」が必要になるのです。
まず、一般財団法人家電製品協会のサイト内「排出者向け引き取り確認」ページを開きます。
お問い合わせ管理番号を半角13桁で入力すると、自分が輩出したエアコンが適切に製造業者へ引き取られたかを確認できます。
処理を見届けるまでは、控えを失くさないように保管しておきましょう。
無許可の悪徳業者による犯罪被害に遭わないよう要注意
不用品回収業者に依頼する場合や、リサイクルショップ・買取業者を利用する場合は、許認可の有無を確認しましょう。
家庭から出る不用品の回収には「一般廃棄物収集運搬業許可」が、中古品買取には「古物商許可」が必須です。
これらの許認可を得ずに、無許可で不用品の回収や買取を行う悪徳業者が存在し、被害報告も多数されています。
引き渡したエアコンが不法投棄される、法外な高額請求を迫られる、などのトラブルに巻き込まれる可能性が高いので要注意です。
他にも、悪徳業者には「無料回収を強調」「トラックで街中を巡回」「契約を急かす」などの特徴が見られます。
詳しくは、以下の関連コラムでご紹介していますので、当コラムと合わせてお役立てください。
まとめ
買い替えなら「家電量販店」、処分だけなら「購入店」、他にも不用品があれば「不用品回収業者」に依頼するのがおすすめです。
自力で取り外しができるなら、処分費用を抑えたりお得に処分する方法もあります。
しかし、誤ってケガをしては大変ですし、機器が損傷・故障してしまっては結局売れなくなってしまいます。
筆者は、掃除のためにエアコンのカバーを自力で外したことがありますが、それだけでもかなり大変でした。
本体の取り外しやポンプダウン作業などは、慣れている人でないととても無理だと感じました。
エアコンを処分する際は、費用面も重要ですが、安全性や利便性も含めて考慮し、自分に合った最善の処分方法を選択してください。